イラク難民人道支援(シリア)
本支援は終了しました。
イラク難民人道支援(シリア)について
2008年7月11日
学校調査で出会ったイラク難民の子どもたち |
シリア国内(ドゥマ)の 難民登録センター |
イラク難民が多く住む通り |
UNHCRの現金配布の受益者リストを確認する |
1.背景
イラク国内の不安定な情勢を受け、イラクから大量の難民がシリア国内に流入しており、シリア総人口の約10%に相当する120~150万人が同国に滞在していると言われています。バッシャール大統領は、アラブの同胞としてイラク難民を受け入れるとの立場を公式に表明しましたが、イラク難民の急増により、イラク難民にシリア人と同等の公共サービスを提供する同国の方針はシリア政府の財政を極度に圧迫し、2006年度末よりシリア政府は国際社会からの支援を要請しています。しかし、イラク難民の流入の加速化は同国の社会、経済状況に多大な影響を与え、シリア政府はイラク難民の入国を厳格化する姿勢をとりはじめています。
2.JPFの対応状況
イラク国内の政情不安定のため、周辺国にイラク人が約200万人避難しており、シリアには最も多い120万人が避難しているといわれています(国連難民高等弁務官事務所(UNHCR))。このような状況を受け、ケア・インターナショナル・ジャパン(CARE)、ジェン(JEN)、国境なき子どもたち(KnK)、日本国際民間協力会(NICCO)、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)より出動趣意書が提出されました。これを受け2007年8月、ジャパン・プラットフォーム(JPF)とJENは、支援ニーズ調査ならびに支援事業立ち上げの準備のため現地調査を行ないました。
初動調査の結果、シリアは他のイラク周辺国と比較して物価も比較的安く入国規制も緩やか(当時)であったことから、イラク人の流入は加速する傾向にあり、受入国であるシリア政府の財政的負担は臨界点に達しておりイラク人に対する公共サービスの提供も限界に達しつつあることがわかりました。しかしながら、同国における移動の制限によりニーズの所在が的確に把握できなかったこと、また、NGO登録プロセスが停滞していたことから、未だ事業形成には至っていません。
JENは初動調査の結果を受け、シリア赤新月社※1が管理しているNGO登録を完了しました。現在は教育省と話し合いをしながら、学校修復を念頭に事業形成を行っています。今後は執行体制が決められた覚書と事業の内容を定めたプロジェクト計画書を作成し、シリア赤新月社と調印することが求められています。
SCJは当初、英国セーブ・ザ・チルドレン(SCUK)を中心としたセーブ・ザ・チルドレン世界連盟での事業展開を考えて、初動調査事業の申請を行い2007年11月に承認されました。しかし、SCUKがシリアから撤退したことを受け、調査時期を再検討しています。JPFはこれまで2事業に助成し、1,914,935円を拠出しています。
※1 国際赤十字・赤新月社に加盟する人道支援を行なう組織。イスラム諸国を中心に31カ国ある。