国際協力NGOジャパン・プラットフォーム(JPF)

紛争や災害時の緊急人道支援を行うNGO組織 ジャパン・プラットフォーム

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イベント 2020年11月18日

【イベントレポート】10月21日開催「今、あなたや家族が新型コロナにかかったら ~NY、東京、大阪の医療現場を支える看護師/医師のリアルな声を聞く」(オンラインイベント)

新型コロナウイルスの感染拡大は世界中で今なお続いており、速度を増してきています。感染者数は累計で5400万人を超え、死者数も130万人を超えました*。現在日本でも、第3波が懸念されています。

人道危機の現状は、支援関係者だけでは解決できず、様々なセクターの協働が不可欠です。「新型コロナウイルス対策緊急支援」プログラムを立ち上げ、国内外各地の既存の支援プログラムにおいても、こんな時だからこそと活動を止めずに継続してきているジャパン・プラットフォーム(JPF)。本イベント、「今、あなたや家族が新型コロナにかかったら ~NY、東京、大阪の医療現場を支える看護師/医師のリアルな声を聞く」は、多様なセクターにおける人道支援のプラットフォームとして、現場の医療関係者、ジャーナリストと共に企画しました。

最前線で新型コロナウイルスに感染した患者さんたちに寄り添ってきた看護師、医師の生の声は、今まで日本であまり聞く機会がありませんでした。本イベントでは、彼らの現場からの声、日々患者に寄り添い続ける中で感じているジレンマ、日米の医療現場や人々の対応、再び感染が広まりつつある今改めて伝えたいことをお話しいただき、いつ感染者やその家族になるかもしれない現状を、自分事として考えられるきっかけになればと開催いたしました。

講演内容

冒頭で、JPF広報部 副部長 高杉より、上記開催に際した趣旨についてお話した後、本企画を提案くださった、ニューヨーク在住の国際ジャーナリスト、津山恵子さんより現地のコロナ禍での様子が伝えられました。津山さんは、アメリカでは医療従事者の直接のインタビューがメディアでも取り上げられ、市民からも感謝されるのに対し、日本ではなかなか現場にいる方たちの声を聞くチャンスが少ないと感じたことを話しました。

  • Black Lives Matterの抗議デモ中に、医療従事者に感謝を示す参加者(ニューヨーク)Black Lives Matterの抗議デモ中に、医療従事者に感謝を示す参加者(ニューヨーク)

  • 国際ジャーナリスト 津山 恵子さん
    国際ジャーナリスト 津山 恵子さん

さらに、JPF緊急対応部 部長 柴田より、JPFの新型コロナウイルス緊急対応支援について紹介。すでに人道危機にあるJPFの既存の支援地域において、さらに人道危機が深刻化しないように、脆弱な立場に置かれている障がい者や難民の方々などにフォーカスしてJPFが実施している、国境を越えた支援について話しました。

ジャパン・プラットフォーム(JPF)緊急対応部 柴田よりJPF新型コロナウイルス緊急対応支援について紹介ジャパン・プラットフォーム(JPF)緊急対応部 柴田よりJPF新型コロナウイルス緊急対応支援について紹介

パネルディスカッションでは、日々医療の最前線に従事する方々が登壇。株式会社メディアコラボ代表取締役でジャーナリストの古田大輔さんをモデレーターに、ニューヨークのマウント・サイナイ・ウエスト病院 看護師、キム希代子さん、聖マリアンナ医科大学病院 看護師・災害人道医療支援会(HuMA)所属の松村あづささん、淀川キリスト教病院 医師・災害人道医療支援会(HuMA)理事の夏川知輝さんが、自分たちの体験をお話ししました。

パネリストの皆さんは、感染が始まった当初は、正体不明のウイルスであること、そして個人用防護具(PPE)が十分に整っておらず、感染の危険がある中で治療にあたることに大きな不安を感じたと話しました。ニューヨークの希代子さんは、感染が広がった当初、診ていた患者さんの8割が亡くなっていきましたが、悲しむ暇もなく次々と新たな患者さんを受け入れるという状況であったと話し、さらに、ともに頑張ってきた自身の上司も感染をし、亡くなられてしまった経験を共有してくださいました。そして松村さんは、感染が始まった当初、呼吸が苦しい患者さんでも自宅待機をお願いせざるを得ず、日本でも「命の選択」を迫られる状況があったと話しました。

  • 淀川キリスト教病院医師・災害人道医療支援会(HuMA)理事 夏川知輝さん淀川キリスト教病院医師・災害人道医療支援会(HuMA)理事 夏川知輝さん

  • 株式会社メディアコラボ代表取締役 元Buzzfeed Japan創刊編集長 古田大輔さん
    株式会社メディアコラボ代表取締役 元Buzzfeed Japan創刊編集長 古田大輔さん

また、日本で働く夏川さん、松村さんから、新型コロナウイルスに関わる医療従事者としてのスティグマの体験を共有。知人の看護師が美容院や引越を断られたり、「コロナの患者を受け入れる病院には行きたくない」と言われたり、防護服を着て診察をすると、感染したかもしれないことへの不安からか、患者から「そんな怖い服を着て対応をしやがって」という心無い言葉をかけられたり、といった経験を話しました。一方で、励ましの言葉やあたたかい食事の差入れ、患者さんが退院していく姿などにエネルギーをいただいたとお話もされました。大変な時期を乗り越えられたのはそういった応援や、また困っている人を助けるという使命感があったからだと話しました。

日本では医療従事者や感染者の声が報道であまり取り上げられませんが、その原因の一つとして、夏川さんより、新型コロナウイルス患者を受け入れている医療機関や、感染してしまった人などへの差別防止のために、現場としてもリアルな声を取り上げてもらうことが難しい、といった現状が共有されました。

希代子さんは、ニューヨークで医療従事者であることで嫌な扱いを受けることは一切なかったと話し、多くの人々が「あなたたちナースはヒーロー、ありがとう」など、感謝や応援を言葉や行動で示してくれたと話しました。毎日午後7時に、医療従事者などへ感謝の気持ちを示すために行われる拍手を初めて聞いたときは涙が流れたと話し、1人ではなくみんなで頑張っていると感じられた、その応援があったからこそ、非常に大変な時期を乗り越えられたと感じていると話しました。また、その患者さんの家族や友人など、誰かにとって大切な命を看護させていただいているという気持ちで毎日臨んだといいます。さらに、「日本の、世界に通用する看護教育を受けたからからこそニューヨークで働けており、今回の過酷な状況も乗り越えられた。日本の人たちは素晴らしい医療・看護を受けているということを忘れないでほしい。ニューヨークも素晴らしい医療・看護があるので、自身も日本人として頑張っていきたい」というメッセージが希代子さんから送られました。

  • ニューヨーク マウント・サイナイ・ウエスト病院看護師 キム希代子さんニューヨーク マウント・サイナイ・ウエスト病院看護師
    キム希代子さん

  • 聖マリアンナ医科大学病院看護師・災害人道医療支援会(HuMA)所属 松村あづささん
    聖マリアンナ医科大学病院看護師・災害人道医療支援会(HuMA)所属 松村あづささん

現在、日本においては、医療体制は整ってはきているものの、他の風邪やインフルエンザと比べてもはるかに高い致死率の病気が、市中で感染するという現実に変わりはありません。
パネリストの皆さんからは、目・鼻・口からのウイルスの侵入を防ぐために、マスク・手洗い・消毒などの感染予防をしっかりと行うことの大切さが伝えられました。「ユニバーサル・マスキング」といわれるように、無症状の人も含めて全員がマスクを着用することで新型コロナウイルスの感染が抑えられた事例として、アメリカのある美容院で、2名のスタイリストが感染に気付かず130名以上の接客をしてしまった際に、本人たちもお客さんもマスクをしていたため、お客さんは誰も感染をしなかったというケースを紹介しました。

JPFは、今年7月より、2020年7月豪雨災害支援プログラムを実施しています。コロナ禍における、JPFとして初の国内災害支援であるこのプログラムで事業を行った、HuMAの夏川さんより、感染を予防しながら支援を届けられるよう、感染対策に関する行動規範の周知を行っていくことなど、コロナ禍での災害支援の在り方についても話されました。
(コロナ禍のJPF国内災害対応規範についてはこちらをご覧ください。)

本イベントには280名以上の参加のお申し込みをいただき、当日は、アメリカ、日本、そしてフランスなどから多くの方々にご参加いただきましたことに感謝申し上げます。
また改めて、登壇者の皆様、そしてご協力くださった皆様に御礼申し上げます。

*WHO Coronavirus Disease (COVID-19) Dashboard, 16 November 2020

本件お問い合わせ

ジャパン・プラットフォーム 広報部 高杉
TEL:03-6261-4035、080-6887-1042
Webサイト:www.japanplatform.org E-mail:info@japanplatform.org

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