イベント 2019年11月28日
【イベントレポート】2019年11月15日開催『GCR・GRFに向けたマルチステークホルダー・コンサルテーション』
11月15日(金)、東京において、日本UNHCR・NGO評議会(J-FUN)主催、ジャパン・プラットフォーム(JPF) / なんみんフォーラム(FRJ) / 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)協力の、『GCR・GRFに向けたマルチステークホルダー・コンサルテーション』が開催されました。
世界で移動を強いられた人々の状況は近年、大幅に悪化しています。難民がおかれている状況がその範囲と規模、複雑性のいずれにおいても深刻化するなか、さらに多くの難民が保護と支援、解決策を必要としています。
2016 年、「難民と移民に関するニューヨーク宣言」の採択と共に、難民と移民への支援を体系的かつ持続可能な形で実施していくために世界的な合意形成を進めることが取り決められました。
そして、2018 年12 月には、「難民に関するグローバル・コンパクト(以下GCR)」が国連総会で採択されました。分裂を深める今日の世界で、多国間主義の重要性を前面に出しながら、難民の大規模な移動と長引く避難生活への国際的な対応を強化する絶好の機会を提供するものです。GCR が採択された背景として、人道支援を中心とした従来の枠組みでは増大、複雑化する難民状況への対応が不十分であり、企業や教育機関、そして難民自身やその受け入れコミュニティーなどの「非伝統的」なアクターも参加する、「社会全体での取り組み(Whole of Society Approach)」が必要という認識があります。
今回開催された、マルチステークホルダー・コンサルテーションは、今年12 月に開催される「グローバル難民フォーラム(以下、GRF)」開催前に、日本国内で全社会的取組みの実現に向けた、難民保護や人道支援にかかわりのある、多様なアクターのステークホルダーとしての参加を促す意見交換の場です。当日は、政府機関、民間セクター(企業など)、教育機関・研究機関、市民社会(宗教関係者、民間財団等を含む)、国際機関、そして当事者である難民が参加し、活発な話し合いが行われました。
第一部では、外務省国際協力局、緊急人道支援課・松田康宏氏よりGCRとGRFに向けた日本の取り組み紹介、ダーク・へベカーUNHCR駐日代表より、GCRとGRFの意義と求められる行動について基調講演が行われた後、質疑応答が行われ、NGOや学術機関などから難民支援においてそれぞれが直面する課題に関し、質問や意見が出されました。
第二部では、各ステークホルダーからの難民支援の事例紹介が行われました。企業による国内外の難民支援現場での支援事例や、難民の雇用、そして、教育機関からは難民留学生の受け入れ事例や、無償の歯科診療の事例などが紹介され、ジャパン・プラットフォームは、NGO・経済界・政府等の社会の主要パートナーをつなぐプラットフォームとしての、独自の助成スキームの紹介をしました。メディアからは、海外の難民問題などは、事態が常態化すると人々の関心が低下しニュースに取り上げられなくなる傾向や、国内の難民状況に関しては、センシティブな内容も多く何をどのように伝えるのか常に難しい判断を要するといった課題が報告されました。また、行政機関、NGO、難民当事者などからも、それぞれ活動や直面している現状に関し報告がありました。
第三部のディスカッションでは、難民保護や人道支援においてこれまで関与が限定的であった「非伝統的」アクターとの協働を実現し難民の生活に持続可能でポジティブな変化をもたらすために何が必要か、難民を「だれ一人取り残さない」共生社会を実現するためにマルチステークホルダーによるパートナーシップがどのように貢献できるか、さらにこうした一連のプロセスにおいて難民の参画をいかにして確保すればよいのか、といった3つのテーマについて活発な意見交換が行われました。難民支援や受け入れにおいて、各アクターが現在抱えている課題を共有し、他のセクターとの協働関係をどのように構築していきたいかなど、今後の、セクター超えた難民・移民問題への取り組みの可能性につながる意見交換が行われました。日本で生活する難民当事者からは、日本語ができないために仕事の選択肢が非常に狭く、支援の一環で日本語教育を受けられる期間も極めて短く、経済的に苦しいこと、また就職をするうえで重視される学歴面も不利だが教育を受けるための奨学金などの倍率も高く、十分なサポートがない課題などが共有されました。また、日本における共生難民の2世3世が引き続き外国人扱いされる現状についても言及があり、当事者や家族が直面する日本社会における困難や、難民と受け入れコミュニティー双方が住みやすい環境づくりなどについて、意見が出されました。
オブザーバーなど含め、沢山の皆様にお集まりいただき、終了後もしばらく議論やネットワーキングをする様子がみられました。
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
これからもJPFは、多様なパートナーと連携して支援を続けてまいります。
またJPFは、このマルチステークホルダー・コンサルテーションを第一歩と位置づけ、今後も定期的に国内外で難民支援に携わるステークホルダーが集まり、対話を重ねる場の創出にも貢献していきたいと考えております。
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