【開催報告(当日レポート)】
UNHCR / ジャパン・プラットフォーム共催シンポジウム
「シリア危機:人として - 分かちあう責任」
6月20日『世界難民の日』に合わせて、国連大学ウ・タント国際会議場にて、UNHCR/ジャパン・プラットフォーム(JPF)共催シンポジウム「シリア危機:人として-分かち合う責任」を開催しました。当日は、支援関係者はもちろん、企業、メディア、学生など、300人以上の参加により、2階席までうまる大盛況となりました。
シリアにおける人道危機は、発生から5年以上が経った今でも収束の糸口が見えず混迷を極めています。「難民」といわれる方々はどのような人々なのでしょうか。私たちにはどのような支援が求められているのでしょうか。
今回でUNHCR・JPFの共催4回目となるこのシンポジウムでは、これまでのシリアや周辺国における人道危機への支援に加え、新しい支援のあり方や、今まで人道支援に関わりの少なかった新しいアクターの参加、関わり方を模索すること、寛容、連帯、多様性の尊重など、難民保護における基本的原則を維持し、誰も置き去りにされない社会について考えていくことを目的としました。学識者、NGO、政府や国連機関だけでなく、難民、企業、メディア、学生、市民社会などを交え、英題ともなっている”One Humanity –Shared Responsibility” 、私たちが人として「分かちあう責任」について、議論を深めていく機会として開催しました。
冒頭では、加盟NGOのセーブ・ザ・チルドレン(SCJ)が2014年3月にそのVol.1(第1弾)を公開し、その後2年間で5千万回以上再生され世界で大きな反響を得たVol.2(第2弾) 「Still The Most Shocking Second a Day」の映像を上映しました。第1弾では、突然起きた紛争により、それまでの平和な日常が刻々と悲劇に変わっていく女の子の様子が描かれていますが、第2弾では少し成長した同じ女の子が、さらにひどくなってしまった日常を過ごしていました。シリアは、まさにこのようにいまだ複雑かつ長期的な人道危機の状況にあるということを参加者の皆様と共有しました。
続いて、司会のJPF海外事業部長の柴田裕子が、過去3回のシンポジウムの振り返りと、今回のシンポジウムの目的を紹介しました。
その後、緊急状況下、限られた時間の中で、持っていく持ち物を選んだり捨てたりしながら、避難する状況を参加者の方々全員が実感しながら参加できる、簡単なアクティビティを実施しました。
参加者の声(体験型アクティビティについて)
- 「数字やニュースの切り取りばかりの世界規模の問題を自分に置き換えられた。ああ、こういうことだったのかと」
- 「自分ごとというキーワードがシンポ内で何回か出てきたが、まさに自分が難民になったらという状況をイメージできた」
- 「簡潔かつ当事者意識を持てる、よいアクティビティ」
第1部 基調講演「シリア問題と不寛容-寛容をいかに制度化するか-」
最上 敏樹(早稲田大学 教授)
国際法・国際機構論を専門にされている最上教授より、20世紀以降は人為的な原因で難民が生まれており、その要因として政治的・宗教的不寛容があるということについて、歴史的流れを踏まえた説明がなされました。不寛容とは「共に生きること」の拒否であり、社会維持のための最小限の必要性を拒否する、ということになります。「他者の生きる権利を承認する」寛容の思想は社会秩序の崩壊防止のための思想であり、ますます広がる自国中心主義に対して、「人間の存在価値が本質的に平等である」という人類にとっての一つの目標を達成するために不可欠なものであるということから、難民問題の本質を解説されました。
シリア問題については、様々な論点から説明することができますが、特にこの講演の中では「国連安保理の責任」について言及されていました。国連安保理は罪のない人が犠牲になるような状況を救うためにその絶大な権力を行使すべきですが、今の国連安保理はそれすらできていないのが現状です。最も重要なのは難民/避難民を生み出さないこと、すでに難民/避難民となってしまっている人々をどのように支援していくか、ということです。
また、シリアで次々に行われている医療機関・施設への武力攻撃にも触れ、本来国際人道法上の最低限のルールとして守られるべきことが平然と破られている現状に危機感を示しました。
2016年5月にトルコで開催された「世界人道サミット」には、「緊急課題への対処」が欠如している、「広範な課題」の議論に逃避している、各国の政府による「国家の責任」に向き合う姿勢がない、などの理由から国際NGO「国境なき医師団(MSF)」が参加をボイコットしました。これらの批判については、国際社会は真剣に受け止める必要があります。国際機関、NGOだけでなく各国政府も形式的な議論にとどまらない具体的な施策を示していくことが求められています。
参加者の声
- 「難民=不寛容の歴史という視点が興味深かった」
- 「寛容、不寛容という明確なテーマ設定でとてもわかりやすかった」
- 「“保護する立場”“保護される立場”で社会的に不安定な立場の人々に偏見を持つのではなく、人は助け合い助けられることで多くのことを学び理解することで尊重できるのだと思った」
- 「国連安保理の重要性、現在の問題点が分かった」
- 「学問的な側面から“難民問題”を見ることができた」
第2部:難民保護・人道支援の活動報告
「シリア危機に対する日本の人道的貢献」
廣田 司(外務省 緊急・人道支援課長)
「日本政府は、“人間の安全保障”と“人道と開発の連携”の視点に基づき、過激主義の拡大を阻止し寛容で安定した社会を中東地域に築くために、3年間で総額約60億ドルの支援とともに、JICA専門家をはじめとする“シリア難民・ホストコミュニティ支援チーム”を派遣しています。また、シリア危機により就学機会を奪われたシリア人の若者に教育機会を提供し、将来のシリア復興を担う人材育成のための留学生受け入れなども実施する予定です。」
参加者の声
- 「5年で150人の留学生を受け入れるという話は、難民問題に対する解決を含んでいないようなので、まだ時間がかかる印象を受けた」
「シリア危機に対するJICAの開発援助」
宮原 千絵(国際協力機構(JICA) 中東・欧州部次長)
「多くのシリア難民は受入国のホストコミュニティで生活しており、周辺国の負担も大きくなっています。これまで以上に開発援助機関の役割が求められている中、JICAとしても周辺国への支援に力を入れています。トルコ・ヨルダン・レバノンといったシリア難民を受け入れている周辺国で、インフラ整備・財政負担軽減・水衛生などの円借款、無償資金協力、技術協力を行っており、さらに今後、教育支援やホストコミュニティ支援に関わる事業、UNHCRと協力してシリア人の若者を留学生として日本に受け入れる事業も実施していく予定です。
シリア危機においては、人道支援と開発支援が同時に動いている状況です。JICAが持つ公正で公平な開発支援のノウハウ、経験を、シリア危機に対する支援にも活かしていく必要があります。」
参加者の声
- 「難民の声を伝えていたのが印象的だった」
- 「人道支援と開発支援が両輪でなければならないことを改めて感じた 」
- 「JICAの支援の包括性を理解できた」
「シリア危機に対する国際的保護活動」
小尾 尚子(国連難民高等弁務官事務所(UNHCR) 駐日副代表)
「紛争の長期化に伴い、難民・国内避難民の生活は困難を極めている一方、国際社会からの援助は十分ではない状況です。今求められているのは、人命の救助、紛争の政治的解決、国際的な連帯・責任の分担、庇護へのアクセスを提供することです。シリア危機への対応は、中東だけの問題ではなく、国際社会全体の問題です。特に、シリア難民を受け入れている周辺諸国の負担を軽減するためにも、他の国による受け入れが求められています。そのためにも、国際機関や政府、NGOだけでなく、企業、学校そして民間などが様々な立場から関わりを今後増やしていってくださることを願っています。」
参加者の声
- 「難民の複雑さをしっかり理解するとともに自分の中に落とし込むことができた 」
- 「問題点ややるべきことを明確にしていただき分かりやすかった」
- 「共感を引き出す素晴らしいスピーチで、原点に戻ることができた」
「JPFによるシリア危機対応」
月岡 悠(JPFプログラム・コーディネーター)
「JPFには、各分野で専門性を持つ48団体が加盟し(2016年6月現在)、世界各国で人道支援を行っています。シリア危機に対しては2012年11月より様々な地域・分野で対応を開始し、現在はシリア・ヨルダン・イラク・レバノン・トルコで支援を実施しています。JPFによる支援の特徴は、命を守り繋ぐ支援、緊急人道支援のプロフェッショナリズム、各NGOがこれまでの経験と得意分野における強みを発揮していることです。各団体は、これまでに築き上げてきたネットワークや専門分野を活かして、緊急事態にも対応し、現地で効果的な支援を展開しています。」
参加者の声
- 「日本のNGOの貢献が写真により具体的にイメージできた」
- 「日本のNGOがどのように活躍しているか、どう協力しながら支援しているのかがわかってよかった」
- 「具体例も多く心に訴えかける内容であった。今後の事業を考えるヒントを多く提示してくれた」
「日本におけるシリア難民の保護・受け入れ」
石川 えり(難民支援協会(JAR) 代表理事)
「日本における難民受入数は、他の先進国と比べて非常に少なく、申請に当たっては膨大な量の日本語による資料が必要になります。難民認定を待っている方々は生活困窮、先の見えない不安に悩まされています。また、保護費を受給できる人も減ってきています。
シリア難民に関しても、日本における難民認定は大変厳しい状況となっていて、人道的に在留許可は出ていますが、難民認定をして積極的に保護するという事例はとても少ないのが現状です。しかし、日本に在住するシリア人は増えてきており、今後留学生としての受入も含めて、彼らをどのように受け入れていくかということを日本社会全体で考えていくことが求められています。」
参加者の声
- 「日本に存在している難民が可視化され、大変興味深かった」
- 「国内にいる難民(およびその申請者)への支援内容を学ぶことができた」
- 「よくある質問を抜粋して紹介いただいたのは、観客の気持ちや聞きたいことに寄り添っているようでよかった」
第3部:パネル・ディスカッション-分かちあう責任-創造的アプローチに向けて
コーディネーター:渡部 正樹(国連人道問題調整事務所 (OCHA) 神戸事務所長)
「2016年5月に開催された“世界人道サミット(World Humanitarian Summit:WHS)”では、人道への課題の確認と各アクターからの具体的なコミットメントが共有されました。このパネルディスカッションは、WHSで得られた結論を日本でどのように実行していくかを議論する機会になると思います。日本から、また日本国内でどういった支援をしていけるかをパネリストの皆さんと話し合いたいと思います。」
新田 幸弘(ファーストリテイリング グループ執行役員)
「ファーストリテイリンググループでは、UNHCRとアジア企業初のグローバルパートナーシップを締結し、難民・避難民に衣料を届ける活動、店舗での難民雇用などを通じて自社の持つあらゆるリソースを最大限活用し、世界の難民問題の包括的な解決に寄与することを目指しています。
企業は社会の一員として、利益を拡大する一方で社会的に果たすべき責任も常に持ち合わせています。グローバルに活動している企業として、なるべく多くの方々を巻き込んでいくと同時に、マーケティングを通じた効果的な情報発信を展開し、難民問題に貢献していきたいと思っています。
難民の方々が置かれている状況には無力感を感じることもありますが、我々ができることは何か、ということをとことん考えて、他の企業やNGO、国際機関、若者と連携していく必要性を強く感じています。」
参加者の声
- 「企業内部への啓発活動が印象的でした。民間企業のできることもあることが分かった」
- 「社員の中で“自分事”にする努力という話、様々な取り組み。知りませんでした」
- 「企業ができること、利益追求との共存が必要だと感じました」
土井 敏邦(ジャーナリスト / 「危険地報道を考えるジャーナリストの会」メンバー)
「ジャーナリストが危険地に行くことが非難されがちですが、ジャーナリストが危険地報道を行うのはなぜかということを発信するために“危険地報道を考えるジャーナリストの会”が発足しました。
テレビや新聞で報道される数字で人の死を分かったつもりになっていては、彼らの本当の痛みは分かりません。ジャーナリストが危険地へ行くのは、現地で一人一人の顔、固有名詞などの想像できる素材を提供し、苦しんでいるのは“同じ人間である”ということを伝えるためです。国際感覚を身に着けるということが言われますが、それは英語が話せるということではないのです。難民は“日本にとって重荷になっている”と言われることもありますが、日本にそういう方々がいることで、初めて私たちは国際感覚に触れることができるのではないでしょうか。難民の方々の持っているポテンシャルに日本が学ぶところはたくさんあります。
難民は私たちが助けてあげるべき弱い存在なのでしょうか? ガザで難民と向き合うたびに、私は“私自身の生き方が問われている”と感じます。強者弱者の関係ではなく、私たちこそが自由や尊厳について彼らに教えてもらっている、“難民”をもう一度違う角度から見つめ直す必要がある、ということを伝えていきたいと思います。」
参加者の声
- 「正直なぜジャーナリストは危険地にいくのだろうと思っていた。しかし自分の力では世界の人々の思いや状況をつかむことができない。誰かが届けてくれていたことを再認識した」
- 「難民、弱者と出会うことが我々の生き方を問うものであるというメッセージは、このシンポジウムの基本であると思った」
- 「フロントラインに立っているからこその、嘘のないメッセージに心打たれた」
- 「人の死を数で終わらせようとしないジャーナリストの活動の意識がよくわかった」
- 「“自分と同じ人間”と感じることができる人を増やすために、ぜひ取材し続けてください」
酒師 麻里(J-FUNユース 事務局長)
「J-FUNユースは、難民問題に関心のある学生が集まり、難民の方が暮らしやすい社会をつくること、学生自身の将来への学びを得ることを目的として活動しています。難民の方との懇談会、日本に暮らす難民の子どもたちの学習支援、衣料品提供のためのリサイクル活動、SNSでの情報発信、高校での出張授業、難民問題に取り組む学生のネットワークづくり、様々なイベントなどを実施しています。
学生らしい多様性、柔軟性、行動力を通して、“自分色の支援”を見つけることを大切にしていきたいです。難民の子ども達と関わる中で、“私たちと変わらない”と感じることも多く、相手の立場に立って物事を考えることが難民問題解決の一歩になると思います。」
参加者の声
- 「自分と同じ年の人がこうして活動されているということに尊敬の念を持った」
- 「非常に小さな組織で活動の影響力は小さいが、やっている活動は非常に価値のある活動」
- 「行動力・多様性が強みの学生にしかできない新しい難民支援を、これからも見つけて実行していってほしい」
カディザ・べゴム(難民高等教育(RHEP)プログラム卒業生)
「日本に定住する難民を対象にして、提携大学による教育機会やインターンシップの提供を通して自立を支援するのが難民高等教育(RHEP)プログラムです。大学進学をあきらめかけていた時にこのプログラムを知り、高い倍率の中、合格することができました。大学での勉学も充実していて、大学3年生のときUNIQLOの店舗でインターンシップをさせていただき、現在はUNIQLOで働いています。
日本は独自の文化を持っているので難民が適応するのは難しい面もありますが、このようなプログラムを受けたことでそれが可能になりました。難民が日本の社会に貢献できるようにするためにも、このような教育や就業の機会を得ることは大切だと思います。
難民というと“貧しい”と思われるかもしれませんが、彼らはもしかしたら自国では豊かな生活を送っていたかもしれず、生きるために全てを捨てて逃げてきた人たちの気持ちは彼らにしか分かりません。難民を受け入れてくれた国で教育や就業の機会を提供してもらえれば、可能性に向かって歩んでいくことができ、受入国にもプラスになるはずです。」
参加者の声
- 「難民自身の声を聞く機会がなかなか少なく、素晴らしい日本語でスピーチしていただきよかった」
- 「必要なサポートをちゃんと受ければ、難民は日本社会で輝いていけるということを実感した」
- 「UNHCRの大学のプログラムに通った難民の方は優秀でスムーズな生活をできているように思われがちかもしれません。しかし、カディサさんのようにその裏にハードな経験、努力があるということを、今日のように聞けたことが本当によかった」
小美野 剛(CWS Japan 事務局長)
「人道支援に携わるNGOをはじめとする機関と企業などをつなぐには、“共感”、共通のビジョンを生み出すことが不可欠だと思います。紛争による莫大な経済損失は、グローバル経済に生きる私たちにも大きな関わりがあります。様々なバックグラウンドをもった方々と問題分析をしていくことで、イノベーションを生み出すことができます。また、難民問題に対する視点を変えて、人の流れを“脅威”ではなく“チャンス”と捉えることで新しい動きが現れてくるのではないでしょうか。
イノベーションを生み出すためには、しっかりと課題分析をする、お互いのことを知る、異なる背景を持った人を引っ張っていくリーダーシップなどが必要になりますが、その根底にあるのは“多様性”の尊重です。多様性を認識することで、難民問題をはじめとする人道支援への理解も深まっていくのではないかと思います。」
参加者の声
- 「”視点を変える”重要性。戦略的に考える。人の流れを怖いではなくチャンスととらえる。目からうろこの言葉だった」
- 「人の流れをthreatではなくてchanceとしてとらえること。この考えが日本にもっと広まってほしいと思った」
- 「人道イノベーションの重要性とこれから求められることを考えることができた」
モデレーター・渡部氏による締めくくり
「難民支援・人道支援の主体は、国際機関やNGOなどの援助団体だけでは決してない、むしろそれだけでは全く足りていないということを今日改めて感じました。様々なアクターが、資金だけでなく人材やノウハウなどのリソースを持ち寄り、専門性を活かすことでより大きな成果を実現することができます。そのような多様なアクターと、実務的で具体的なパートナーシップを進めていくことが、今や人道支援の主流になっているのではないでしょうか。ビジネスの論理、ジャーナリズムの役割、人道支援の原理原則を尊重しつつ、それぞれの創造的な関係を築いていくことが重要です。
また、既存の枠組みにとらわれず、思い切った取り組み・チャレンジもますます求められます。これまでの取り組みを見直していくことで、仕事の仕方や関係性を変えていくという形の新しいイノベーションが生み出されます。
教育・職業訓練などの自立のための支援、いわゆる“人道への投資”も今必要とされています。援助団体だけでなく、私たち一人ひとりが様々な形で支援していくことが可能なのではないでしょうか。また、新しいアイデアを実現するためには、一歩踏み出す勇気、やり遂げるというコミットメントも不可欠だと思います。
難民支援・人道支援の基盤をなす、“寛容”“多様性の尊重”といった価値観自体を共有し広めていくことの大切さも改めて感じました。難民の方の置かれている状況を知ること、怒りを感じること、声を上げていくことも、私たちそれぞれに求められている責任であり、その責任を分かち合うために、身近なところからできることはまだまだたくさんある気がします。」
閉会の挨拶は、ダーク・へベカーUNHCR駐日代表が登壇し、シンポジウム参加者への深い感謝を述べました。
3つの企画展示
会場内にて3つの企画展示を開催しました。
田邑恵子氏写真展『食卓を囲むシリアの家族』
「食卓」をキーワードに、難民キャンプでのご馳走、新婚夫婦の食卓など普段の報道では触れられることのないシリアの人々の日常生活を映し出す写真が展示されました。
参加者の声
- 「辛く苦しいことだけではない、食卓でのシーンなど、温かい場面やおもてなし/分かち合いをするシリア文化を知ることができ、希望が持てた」
- 「”難民”としてのシリア人というだけでなく、”一個人”としてのシリア人の生活が見られる機会は貴重」
- 「難民の人たちは私達と同じ人間として生活している、という根本的なことが視覚化され共感を呼ぶ展示だった」
- 「シリアという国の文化、人々についてもっと知りたいと思った」
国際難民支援会(RIJ)『難民コレクション』
ソマリアやケニアで難民の方々から寄付された、逃げる際に実際に家から持ち出したものが展示されました。日用品や小さな家電などに、すべて持ち主の名前や年齢、エピソードが書かれています。
参加者の声
- 「解説で1人1人の生き方、ストーリーを知れたのがよかった」
- 「実際の難民の方々の写真やいろいろなアイテムがあり、目に焼き付けることができ、改めて難民や中東の現状を理解するとともに、今後への活力となりました」
株式会社ファーストリテイリング『1000万着のHELP メッセージボード』
株式会社ファーストリテイリングはUNHCR とグローバルパートナーシップを締結し、不要になったユニクロ、ジーユーの衣料を難民に届ける活動をしています。1000万着の服を世界中の難民に届けるキャンペーン「1000万着のHELP」の達成記念として、参加してくれた皆さんへの感謝のメッセージボードが展示されました。
参加者の声
- 「ファーストリテイリング以外の日本の企業はどうなっているのだろうかという疑問と興味がわいた」
全体を通して
たくさんのご意見をいただきました(以下、抜粋)。
参加者の声
- 「難民の人々が自分たちと同じ人間なのだということを、より強く感じることができた。」
- 「土井さんが最後に、強者と弱者、難民は弱い人か?と問うた。難民の人々から学ぶ、共に生きるということが大切だと聞き、はっとさせられた。無意識の内に弱者としてみなしていることがあるかも。パートナー、仲間という気持ちを忘れないでいたい」
- 「パネリストに色々な立場の人(特に企業、難民、青年という立場の方々)が入っているのがとてもよかった。有意義な機会」
- 「このような機会をもっと情報発信してもらい、難民について理解することが必要だと感じた」
- 「将来、難民のために仕事をしたいと考えているが、今の自分に何ができるのかなど将来への不安を抱いてこのイベントに参加。本当にやりたいことをこれを機に考えさせられ、参加してよかった」
- 「日本らしい、新しい試みができないか、考えていきたい」
- 「講演の構成、内容ともに素晴らしい。自分にできることを見つめ実行していきたい」
- 「日本にUNHCRやJPFのような機関があり、我々学生にも“知る”機会を設けてくれることに感謝」
- 「(展示に関して)シンポジウム前にこのような企画があると、より自分事として考えやすくなるのでよい」
ダーク・ヘベカーUNHCR駐日代表と緒方貞子氏。シンポ終了後の会場にて。