「Q&A(支援の質とアカウンタビリティ)初級2日間研修」を
開催しました
イベントレポート
10/29(木)と10/30(金)、ジャパン・プラットフォーム(JPF)は主催JQAN(※1)の協力団体として、「Q&A初級2日間研修(人道&緊急支援の国際基準トレーニング<基礎編>)」を開催しました。
本研修はJQANが提供する、人道・緊急・開発支援活動の質の向上を目的として国際基準を学ぶ2日間集中トレーニングを、ジャパン・プラットフォームの加盟NGOスタッフ向けに開催したものです。かねてより緊急人道支援活動をメインとする加盟NGOからは、Q&Aについて体系的に学ぶ機会開催への要望があり、それに応える形で実現しました。2日間を通して、8団体21名(海外事業系部署、国内事業系部署、マーケティング部、広報、総務など)が参加し、国内外の人道・開発支援、防災に関わる者が身につけておくべき国際基準「スフィア・プロジェクト」(※2)と「HAP基準」(※3)の理念を学びました。
「スフィア・プロジェクト」のハンドブックは厚み2センチ弱で、実に360頁超にわたって人道憲章や権利保護の原則、コア基準、4つの活動分野ごとの技術的な最低行動基準等が記された、質量ともに重厚なものです。この使い方を習得するとあって、参加者は最初緊張気味でしたが、講師のきめ細やかなファシリテーションと多数の参加型グループワークにより、最後まで全員の集中力や活気は絶えることがなく、「HAP基準」も併せ、ハンドブックを熱心にめくって取り組む参加者の姿が印象的でした。
参加者からは「人道支援活動の根底にある考え方を自分のものとして理解できるため、様々な部署のスタッフにも強く勧めたい」、「スフィアの精神が可視化されたり、かみくだいた説明を自分自身で考えるといった作業を通して、活動をする上でコアとなる理念を理解しやすくなった/自分の中でぶれないものとなった」、「ハンドブックを単なる参考書ではなくツールとして使える自信がついた」といった感想が寄せられました。
緊急人道支援の現場はもちろん、どんな活動の地においても、裨益者の置かれた状況はひとつとして同じものはありません。それぞれに最適に対応するためには、人道憲章や原則、コア基準という揺るぎない核を理解し、それに則って目の前のひとりひとりと向かい合うこと。そういった最低限で最重要な指針(行動規範)を参加者はこの2日間で修得できたようです。それぞれがそれをしっかりと携え、日々の業務においても、組織内のチームワークにおいても、存分に活かしてゆかれることと思います。
※1)JQAN
東日本大震災以降、日本の人道支援関係者に対して、支援活動の質とアカウンタビリティの向上に取り組んできたQuality and Accountability(Q&A)ワーキンググループの目的と活動を引き継ぐ形で、今年7月に設立。
※2)スフィア・プロジェクト
人道機関は、国際人道法や人権法、難民法の規定に反映されている、被災者の権利の中でも「尊厳のある生活への権利」「人道援助を受ける権利」「保護と安全への権利」の3つに基づいて、被災者すべてに支援というサービスを提供するとされており、これらの権利を実現するために、人道援助を行うNGOのグループと国際赤十字・赤新月運動によって1997年に開始されたのが「スフィア・プロジェクト」(または「スフィア」)である。冷戦終結後の1990年代、世界各地で内戦が頻発する中、国際機関やNGOが行なう人道支援は、確かな役割を果たす一方で、支援が軍事目的に転用されるなど、紛争の長期化・複雑化に与える悪影響が指摘された。この課題に取り組むため、スフィアでは、人道憲章の枠組みに基づき、生命を守るための主要な分野における最低限満たされるべき基準を定めて「スフィア・ハンドブック」にまとめた。
※3)HAP基準(正式名称:「人道支援の説明責任(アカウンタビリティ)と品質管理(クオリティ)に関するHAP基準」)
人道支援を実施する際に、支援団体としての組織の在り方、被災者への説明責任、被災者との関係の築き方などの指針を定めた国際基準。