2006年2月15日、JPF事務局にて上記ワークショップが執り行われた。参加者は各NGO団体から16名、笹川平和財団から2名、金調査員、JPF職員谷口と寺垣、アシスタント下田の計22名であった。
■ 目的 |
先般実施されたスマトラ沖大地震に対するJPFプロジェクトにおいて、参加NGOがJPFアカウンタビリティのフレームワークについて意見交換を行うことにより、問題意識や情報の共有を図る。 |
■ ワークショップ内容 |
(1) 全体概要説明 |
メモ: |
[谷口] これまでの経緯と今後の目的
- NGOのアカウンタビリティのキャパシティビルディングのための実践的かつ具体的な方策を立案するための、笹川平和財団助成によるプロジェクト。
- スマトラ案件でのJPFと各団体とのばらつきの修正⇒今後の改善案
[金] ●現状と理想のギャップの把握
- ⇒
- マイルストーンを設定して、アクションプランを策定していく。
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(2) アカウンタビリティ内容の理解
- スマトラ沖大地震時のJPFアカウンタビリティ
(報告書の書式化、HPでの情報公開、経団連への報告会)
- 参加NGOが認識するJPFアカウンタビリティの明確化
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メモ: |
[谷口] これまでの経緯と今後の目的
- NGOのアカウンタビリティのキャパシティビルディングのための実践的かつ具体的な方策を立案するための、笹川平和財団助成によるプロジェクト。
- スマトラ案件でのJPFと各団体とのばらつきの修正⇒今後の改善案
[金]:JPFなりのアカウンタビリティを行ってきた。
- ⇒
- 各団体自身が行ってきたアカウンタビリティもあるが、それについての意見は。
- [PWJ]:
- アカウンタビリティに関するJPFの活動は既にいろんな分野に関わっており、ドナーに限定されない。それらドナー以外の分野を本プロジェクトに組み込んでいく用意はあるか。
- [金]:
- ドナーを出発点として、アクションプラン作成段階では他分野にも落とし込んでいく。
――
- [谷口]:
- アカウンタビリティを戦略的に活用するとは、アカウンタビリティをやらなければならない責務のみで感じることではなく、組織を強化するための積極的行動である。
――
- [金]:
- JPFの特異性とは、
I ドナーであり実施者である。
- 質問[WVJ]:
- その2面性を同一に考えることは可能なのか。区別すべきなのではないのか。ドナーとしてのJPFを考えた場合、JPFなりのスタンダードを設定するという考え方が出てくるのでは。
- 回答[金]:
- しかしJPFが各団体の自主性を制限するような事態があってはならない。
JPF自体が自己資金を持っているわけではないので、完全にドナーとも言いがたいのでは。(次の(2)の議論に移行している)
II 緊急性
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(3) 組織戦略の明確化(JPF構成図)
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- (ア)
- JPFが想定するステークホルダー
- (イ)
- 参加NGOが考える具体的なステークホルダーの明確化
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メモ: |
- [SCJ]:
- 経団連のモニタリングミッションについて:JPFといった場合に強く意識するのは、公的資金が多いこと⇒「税金」。公的資金を使うということは、ODAモニターのように一般の人々からもモニターされる可能性があることを考慮する必要がある。つまり、各ステークホルダーに話す言葉遣いは異なっているが、公的資金を使うという性格上、一般の人々に理解できないような説明はできないし、一般の人々をモニタリングの枠内に組み込む考慮をすべきである。
・説明すべきは経団連だけではなく、(NGOの事業報告会のような)会を開くのはどうか、という意見が。
- [ICA]:
- NGO支援無償との違いを明確にするためにもそのような会は必要だろう。
- ⇒
- 一般の人々に対する説明に関しては同意する団体は多かった。
- ⇔
- しかし一方で
- [WVJ]:
- JPFがそのような、個人対象の説明行動を主導する用意はあるのか、また主導すべきなのか。JPFの資金を公的資金と見た場合、それにたいするアカウンタビリティを果たすべきなのは政府機関(外務省)ではないのか。
という意見も。これに対しては、
- ⇔
- [SCJ]現実のODAモニターはJICAとJBICだけに限られている。外務省に任せるとしても、彼らが突然思いつくということはないので、JPFから外務省に実施するように依頼書を「上げ」るべきである。
という反論も出た。
- [JEN]:
- 一般の人々に「モニタリング」をさせるのは難しい。「視察」という形にするのはどうか。
⇒同意を得る
――
・個人に対する資金協力の推進について。
(NGO側から)そもそもJPFは個人を対象にするのか、という問題がある。
- [谷口]:
- 各団体に行くべきお金までJPFに来てしまうことはありうるので、強力に推進することはないだろう。
個別企業に対しても、2回(緊急災害支援)とも寄付を頂いた企業に対してはこちらからアプローチすることも考えているが、そうでない企業に対して(新規開拓するようなこと)は消極的である。
――
- [WVJ]:
- ・JPFの資金を使用することに関するメリットとデメリット
メリット:早い。使い勝手がよい。⇒アカウンタビリティもスピーディに果たすことができる。 デメリット:公的資金なので制約があるため、依存を1〜2割に設定している。
――
- [金]:
- 千葉県自治体の事例。インターネットを利用してはいるが、公側の思惑と民側の思惑にズレ。⇒サイトに載っていたとしてもアクセスは少ない。
――
- [AAR]:
- ・JPFに要求したい事項。
- 報告の時期を早める。
- 各NGOが報告する。経団連の報告にはPWJとJCCPが代表として順番に報告するように対処することはできないのか。
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(4) ステークホルダーマッピング(笹川平和財団資料)
- 想定されるステークホルダーとは誰か(具体的な組織を考える)
- 各ステークホルダーに対して果たすべきアカウンタビリティとは何か
- 今回の災害対応において適切にアカウンタビリティが果たされたか
(スマトラではカバーされなかったが、本来アプローチすべき組織は?)
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メモ: |
- [ADRA・WVJ]:
- インドでの支援のときにWVJとADRAが現地に入り、共同記者会見を行った。そのときにNGOとしてではなく(政府機関の)JPFとしてメディアに対応したことによって、“(総体的な)日本からの支援”をアピールすることにつながった。⇒その背景には、インドが海外からの(NGO)支援を断っていたが、JPFの傘(日本政府)に入れば現地で行動できた、という事情がある。このことから、自団体の名とJPFの名のどちらを使うかによって、ステークホルダーと説明のしかた、アピールする相手に与える印象が異なってくることを感じた。
――
- [PWJ]:
- 各団体とJPFは潜在的競合関係にある。そのバランスをどうとっていくか。
――
- [SVA]:
- 経団連の報告会終了後に名刺交換会があり、それで各企業とのつながりができた部分はある。メディアの部分でも同様にJPFが果たした役割があった。
――
- [金]:
- JPFのステークホルダーとして挙げられている(配布資料のような)それぞれの分野に対して、NGO側はどのような距離感を持っているのだろうか。
- [ICA]:
- 学識界とはつながりなし。
- [WVJ]:
- スマトラに限った場合学識界とのつながりはなかったかもしれないが、スーダンでは学習会が行われるなどされており、ケースバイケースである。
- [PWJ]:
- アチェに入ったときも研究者を招聘して報告や研究内容を活用したので、JPFとしてもそのような手法を考えるべき。
――
- [金]:
- マッピングをする際に各ステークホルダーの位置づけを考えると下記のような区別ができる。
- 価値の創造→受益者、現地政府
- 正当性を支持→ドナー、政府
- 組織の実施能力→職員、LNGO、現地政府、国際機関
――
- [ICA]:
- ステークホルダーが異なるからといって説明を変える必要があるのか。
- [谷口]:
- ドナーに対して収支報告書は出すが、一般の人には出さないだろう。つまり現実として我々が出すアカウンタビリティはステークホルダーごとに異なっているといえる。しかし何か具体的な指標があるわけではなく、それを考えていくうえで今回のマッピングは意味があるのではないか。
――
- [金・谷口]:
- マッピング要素を 1お金 2人 3物資 4技術 としてみる。そして、ステークホルダーの特性を振り分けていくと以下の図のようになる。
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(5) フレームワークの活用(笹川平和財団資料&JPFフレームワーク)
- フレームワークは十分に活用されたか
- 活用するにあたって障害となったものはあったか
- 今後フレームワークを機能的に活用するために必要なことは何か
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(6) まとめ&今後のスケジュール
- 現状のJPFアカウンタビリティとNGOの認識
- NGOインタビュー対象団体
- 第2回ワークショップ・スケジュール
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