[2]調査結果 〈2〉現地調査NGOの活動状況 |
│難民を助ける会-AAR-│BHNテレコム支援協議会│ピースウィンズ・ジャパン-PWJ-│ │セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン-SCJ-│JEN│日本医療救援機構-MeRU-│ |
〈1〉難民を助ける会 -AAR- | |
◆団体名:難民を助ける会(AAR) ◆プロジェクト:アフガニスタンにおける緊急地雷回避プロジェクト ◆期間:2001年12月01日〜2002年02月28日 ◆地域:アフガニスタン カブール州、パルワン州、バグラン州 ◆実施責任者:長 有紀枝 ◆現地インタビュー:桑澤MR、紺野MR(project担当) ◆事業パートナー:HALO Trust Afghanistan ◆プロジェクト概要 a)本格的な地雷除去・不発弾処理活動の開始を前に、緊急事業として、地雷回避教育を行い、紛争に関係のない市民が地雷や不発弾の脅威に曝され、生命を脅かされる事態を未然に防ぐことを目的に地雷回避教育を実施。 b)UNアフガニスタン地雷活動プログラム(MAPA)との調整によるポスター・教材の作成、印刷等出版作業の管理。 c)事業パートナーによる配布・地雷教育活動の実施、活動のモニタリング。 ◆プロジェクト実施状況 a)アフガニスタンで回避教育を開始するにあたり、UNアフガニスタン地雷活動プログラム(MAPA)との調整を実施。場所については、緊急の回避教育のニーズが高い地域、すなわち交通の要衝や、また比較的人口が多い地域であるにも関わらず、紛争の影響等でこれまで地雷回避教育が実施されてこなかった地域を対象とし、カブール州、パルワン州、バグラン州で、本事業を実施した。 b)実際の回避教育は、アフガン人が実施。事業パートナーであるHALO Trust Afghanistanより回避教育の経験・実績のある人員を中心に3チーム計12名の体制。(チームリーダー各1名、除去要員各2名、運転手各1名の計4名) c)12月、関連機関との調整、人員の雇用や物資の調達準備を実施。 d)1月より上記3地域で、3チームによる本格的な回避教育を開始した。2002年1月末までに、カブール州エスタレス郡、カブールに隣接するパルワン州バグラム郡及び北部のバグラン州ヘンジャン郡で回避教育を行った。これらの地域は、紛争終了後いずれのNGOも地雷回避教育を行っていない地域である。 大人453人、少年1125人、少女882人に回避教育を実施。(2月迄の数字) これらの対象者は主として、国内避難民(IDP)と帰還民である。 e)使用する教材 米軍の空爆以降、アフガニスタンでは使われたことのない地雷や爆弾(特にアメリカ製クラスター爆弾)の不発弾が新たな脅威として加わり、一般住民の安全確保上、これらを付加した教材の作成が不可欠であり急務とされていたため新規のチラシ、ポスター作成を実施。図案や地雷・不発弾の選定の段階から、MAPAと調整を行い、最終的な承認を得た後、カブールにて印刷、2002年1月に完成、配布した。 f)第二段階として通常の回避教育にAAR独自の手法を盛り込む形での活動として回避教育ブックレットを用い、絵本を通じて平和へのメッセージも込めた形で回避教育を行う。AARは自作の絵本をもとにした地雷回避教育を2000年にはユーゴスラビア連邦コソボ自治州で実施しており、アフガニスタンでも同絵本を元にした回避教育の実施に向けて現在、アフガニスタンで絵本を使うための諸準備段階、具体的には絵本の文章及び絵を作成中。回避教育で使用する教材は現地の文化や風景を反映させたものでなければならない。画家にそのような指示を出し2月に絵本試作版が完成。MAPA回避教育班による現地でのテスト結果を反映した文章及び絵の修正を行いMAPA承認後、絵本を印刷し、アフガニスタンにおける回避教育に活用する予定である。本絵本についてMAPAは学校教材としての利用にも関心をしめしている。 ◆地雷除去現場視察 カブール近郊における地雷除去現場をHALO Trustの協力により視察することができた。カブール北部から続くショマリ平野さらにサラン峠を越えて北部クンドゥスにいたる街道周辺はソ連に対する抵抗、内戦の最前線であり、埋設地雷が極めて多い地域である。 今回訪れた場所も道路沿いであっても除去作業が終わっている地点以外は極めて危険な状態にあり、最近でも地雷により車輌が吹っ飛んだケースがあった。 これらの地雷は単に置かれているばかりではなく巧妙な形で紐が隠された罠の仕掛けが組み込まれており、これらを注意深く取り扱いながら1個、1個特定し自爆させていくという危険で、かつ労力のかかる仕事となっている。1月に1名程度の除去スタッフの犠牲がでるほどの作業であるため、地雷除去現場には救急医療スタッフが待機していた。 地雷除去は金属探知機を使っても、最後の確認は手作業である。日本でよくいわれている技術的な地雷除去についても全ての場所でそれが可能であるかは疑問である。 これらの作業は元兵士の雇用という形で紛争後の武装解除・平和構築にも資するので地道に行うことがアフガニスタンでは優先されるべきである。 ◆考察 a)現地でのきめ細かな作業への派遣スタッフの関与 現地ではポスターの作成、修正、印刷、パートナーへの引渡し、モニタリング等の作業が行われ、様々な制約条件や試行錯誤のなかで派遣スタッフの粘り強い関与により、プロジェクトが進んでいる。これは従来にない形での支援を自主的に企画したものであり十分な評価に値するものと考える。 b)自己のノウハウと研鑚を生かした活動 AARのもつ世界各地での地雷除去活動ならびに地雷回避教育等のノウハウの蓄積を活かしたユニークな活動を行なっている。MAPAとのコーディネーションを重視し、世界的にみても評価できる品質と団体の独自性を両立させたものであり今後の日本のNGOの活動において学ぶべき方法である。 c)パートナーとの実施事業とAARの役割 AARはパートナー(HALO Trust Afghanistan)との協力関係に基づき現地での実施活動を行なっている。パートナーは現地での有力NGOであり国際NGOとしての実績のもと、現在ではスタッフを100%現地化している。地雷除去活動は膨大な資金と長期的なコミットメントが必要であり日本のVが独自の組織を現地で立ち上げることは難しいかもしれないが、ジャパン・プラットフォームの初動活動費により購入した車両等を生かし、独自プロジェクトをパートナーと組んで持続的に展開することが求められる。パートナーとの実施契約等においても実施内容や報告について具体的な説明を要求することが必要である。 ◆ジャパン・プラットフォームとの関係 a)地雷回避教育については帰還者の増加により今後とも緊急性の高いプロジェクトとなっている。ジャパン・プラットフォームの資金を使ったポスター等にはジャパン・プラットフォームのロゴも掲載されており、非常に広汎な地域で日本のNGO活動が行われているとの告知に貢献している。また絵本等も読みまわしや反復利用を考えれば、直接受益者以外への広がりも想定できるため極めて有効な援助活動となる。 b)絵本の作成については、MAPAによるモニタリング作業に時間を要し、実施期間の延長が評議会に提起された。評議会は絵本プロジェクトの効果を吟味し、4月中の実施期間延長を許可した。ポスターによる地雷回避教育の効果等の報告をもとに柔軟に対処することが認められたものである。 |
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